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胃酸

 

「酸なくして潰瘍なし」ということばがあります。昔から潰瘍の治療は胃酸との戦いでした。長い間、有効な薬が無かったため胃潰瘍や十二指腸潰瘍で命を落とすことが珍しくはありませんでした。究極の治療法として外科手術が開発され外科医が活躍しました。

しかしH2ブロッカーの出現でこの世界が一変しました。はじめて胃酸を長時間抑制することができる薬が開発されたのです。その効果は絶大で、地球規模で潰瘍手術が激減したほどです。その後、さらに強い抑制効果のあるPPIという薬も開発され人間は胃酸をほぼ征服しました。


【胃酸の役目】


胃はなぜ、こうした厄介者の酸をだすのでしょう。胃酸は塩酸です。それもpH1−2の濃塩酸です。胃は食べ物が入ってくるとその刺激をうけて胃酸を分泌します。
その目的は食物の消毒です。どんな食べ物も無菌ではありません。ましてや野生動物は細菌に汚染されたものでも平気で食べます。それでもほとんど病気になりません。胃酸は食べ物に含まれる有害な侵入者から私たちを守ってくれるガードマンなのです。

胃を切除すると胃酸が出なくなります。このような人がコレラなどの消化器系の伝染病にかかると、重症化して命を危険にさらすことになります。こういう場面で胃酸はとても重要な役割をはたしているのです。


【攻撃と守り】


塩酸はたんぱく質を容易に分解します。当然胃も酸でとけることが予想されますが普通は、そのようなことは起こりません。胃の粘膜からは粘液という‘べとべと’した液体が分泌されます。これが粘膜の細胞を塩酸から守る、バリアーになるのです。調子の良い時の胃は、この矛と盾(胃酸の攻撃と粘液の守り)のバランスがとれています。これが崩れるとき粘膜が胃酸によって傷つけられるのです。


バランスの崩れには三種類のパターンがあります。
(1)酸が異常に多い (胃酸過多、ホルモン産生腫瘍など)
(2)酸は多くないが粘液が乏しい(暴飲暴食、ストレス、鎮痛剤、ピロリ菌感染)

(3)酸が多く粘液が薄い  (暴飲暴食、ストレスなど)


【空っぽの胃】

これに加えて、「胃が空であるか否か」が大きな意味を持ちます。胃の中に食べ物があると塩酸は食物に吸収されて薄められます。しかし私たちが寝ている時間には食べたものはすでに腸に送られて胃のなかは空っぽです。分泌された濃塩酸は薄まりません。しかも意識がありません。胃酸がもっとも危険になる時間帯が寝ているときなのです。「潰瘍は夜つくられる」という有名な言葉がありますが、これは消化器科の医者にとってまさに実感です。寝ている間の過剰な胃酸のコントロールこそ治療戦略上最も重要なことなのです。


【胃酸分泌の司令】

胃酸の分泌には2つの命令系統があります。ひとつは脳からの迷走神経、あとは胃からのホルモンです。脳の興奮は迷走神経を介して胃を刺激します。その結果、酸が出ます。脳の興奮の原因はストレス、アルコール、カフェインなどです。一方、胃のホルモンはガストリンと呼ばれるもので食事の刺激で分泌され胃酸を出します。


【胃酸のセルフコントロール】


胃の出口の近くには塩酸のリセプターがあり酸をモニターしています。これが酸を感知するとガストリンの分泌を抑えます。その結果胃酸は出なくなります。この制御機構が破綻すると「胃酸過多」になってしまいます。


【ストレスと胃酸】

ストレスによる脳の興奮が迷走神経を介して胃を刺激、その結果、酸が分泌されます。昼夜を問わず出ますが、寝ている間が最も危険です。


【アルコール、暴飲暴食と胃酸】

 

飲むときは同時に食べ過ぎます。食べすぎると胃の粘液が剥ぎ取られてしまいます。アルコールには脳の興奮作用があり胃酸の分泌も亢進します。無防備になった胃粘膜はこの胃酸によって傷がつけられます。飲みすぎた翌朝の胃症状はこれが原因です。寝る前に胃酸を抑制する薬の服用が効果的です。


【消炎鎮痛剤と胃酸】

痛みの治療でこの薬がでます。痛みは治まるのですが同時に胃の粘液を強く抑制します。胃粘膜は薄くなった粘液では十分ガードされません。その結果、潰瘍などが発生します。

通常この種の鎮痛剤は胃薬と併用することが奨励されています。


【ピロリ菌と胃酸】

ピロリ菌は胃の粘液の中に繁殖して粘膜に傷をつけます。その結果慢性の炎症がおきて粘膜は活力を失い、胃酸も粘液も減少します。ピロリ菌を除菌すると粘膜は炎症がとれて活力を取り戻します。その結果、酸の分泌は増加します。同時に粘液も増えます。これでバランスがとれれば問題はありません。しかし元々が胃酸過多の場合、除菌前より酸が強くなります。特に胸焼けがある方は悪くなりやすいです。酸をコントロールする薬が必要になります。

 

H2ブロッカー(ガスター、タガメット、ザンタックなど)


胃の塩酸リセプターに作用して、酸が出ているかのように胃をだます薬です。作用時間は6時間くらいです。薬効が切れると、急に酸が強く分泌されます。寝ている間に切れると危ないです。夜の服用は必ず「寝る前」と指示されます。必ず守りましょう。

 

PPI(タケプロン、オメプラール、パリエットなど)


胃粘膜の塩酸を出すところ(プロトンポンプと言います)を抑制します。大元のバルブを閉めるようなもので確実に酸を止めます。作用時間は30時間くらいあり1日一回で十分です。

持続的な酸分泌の抑制が必要な時に使います。

 

どちらの薬も強い作用を持っており、自己判断で服用を中断すると予想外の事態がおこります。必ず指示されたとおりに使ってください。